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ベトナムの熱処理産業(続き – パート 3)

品質を選ぶか、価格を選ぶか  QCD品質・コスト・納期 のバラン スは熱処理分野に限った課題ではないが、 ベトナムで熱処理の外注を予定する際に バイヤーが注意すべき特別な影響を与え る要素がある。 ベトナムにおける熱処理業界は  “価格 重視どのような発注でも受ける か “品 質重視” の2つのグループに大別される と言えよう。 品質および価格の高い順か らいうと、日本企業 →他国企業韓国、 台湾、中国等  →ベトナム企業となる。 現在、一部の日本、中国等の原材料サプ ライヤーは、材料を購入した顧客向けお よび追加受注として熱処理サービスを提 供している  日本企業は、優良な設備と厳しい管理 工程により品質を保証する代わりに、 価 格が高く納期が遅い。 逆に、 中国やベト ナムの企業は、 設備の90が中国製 ベ トナム製で、小ロットの発注も受け 異 なる部品を組み合わせて一度に炉へ入れ ある、 納期を早めるために工程を省く企業 も少なくない。日本企業 通常は異なる 部品を一緒にせず、 作業の省略は許され ないと比べると価格ほかなり安く、 当日 や翌日に納品することもできる。 ただし、 低価格と引き換えに、 顧客は硬度や部品 形状のミス、性質の変化、不安定な品質 といったリスクを常に抱え、 高い不良率 と修正を受け入れなければならない。 あ る企業は、「修正回数が多くても、熱処理 と修正にかかる総コストは日本企業に熱 処理を外注するより安いので、 難易度が 高くなく熱処理業者の指定がない場合は、 当社はベトナム企業に依頼する。 あるい は最初から熱処理業者によって異なる見 積りを提示して、 顧客に検討と決定をお 願いすることも考えられる」と語る。  設備と技術以外に、日本企業とベトナ ム企業で大きく異なる点は品質管理工程 である。 日本企業は、明確な品質管理工 程を整備し、徹底的に遵守する 定期的 な検査、 メンテナンス。 例えば  Pro-vison では3ヶ月に1回。

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ベトナムの熱処理産業(続き – パート 2)

ベトナムと日本の違い 本テーマの記述にあたって、 熱処理分 野の得意先の一つである切削加工会社よ り、 多くの興味深い見識を共有していた だいた。 そこから、 熱処理を必要とする 切削加工におけるベトナムと日本の違い について、理解を深めることができた。 このことは、 本の企業がベトナムのサ プライヤーに発注を決める際に知ってお くべき有益な情報になると思われる。 今回は、4つの基本的な熱処理形態 (焼 きなまし、焼きならし、焼き入れ、焼き戻し) の1つで る「焼き入れ」を取り上げる。 基本的な加工プロセスは、簡略化すると 図1のとおりになる。  日本では、原材料サプライヤー、 加工 業者 熱処理業者が互いの近くに拠点を 構えてサプライチェーンを形成している ため、一つの区域内で一貫した加工を行 えるようになっている。 日本の熱処理産 業は一貫した設備システムや優れた技術 と管理プロセスによって、 非常に高いレ ベルに達している。 従って、多くの部品 は軟鋼を使用し、 その後の熱処理を経て 図面要件の硬度を満たすことができる。 しかし、ベトナムでは生産条件がまっ たく異なる。 国内のサプ イチェーンが 完成されていないため (原料のほとんどが 輸入され、多くの生産分野が未熟である 等)、 ベトナム企業は十分な加工技術を備 えていても、図面どおりの材料や表面処 理の指定に対応することが難しい。 以下 に例を挙げる。 ●以前は熱処理の専門業者が極めて少な かったため、 機械加工の国営企業の大半 は自社で熱処理炉を整備しなければなら なかった (前号で記載したとおり)。 しか し、数十年前に投資された設備はすでに 老朽化し、技術も時代遅れとなっている。 ここ5年から10年の間に、 新しい熱処理 専門会社が数多く現れ、 業界や製品のニー ズに対応している。これについては記事 の後半で触れる。  ●各工場の場所の連携性がなく、 加工工 場と熱処理工場が離れている。この原因 の一つは、 国と地方の計画および政策に ある。 工業団地は主に外国投資またはベ トナムの大手企業の誘致を目的としてお り 国内の中小製造企業にとって工業団

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ベトナムの熱処理産業(前編)

国内需要は未だ低い  今回はベトナムにおける熱処理業界に ついて詳しく調べていく。 熱処理、 表面 処理(めっき、塗装、 研磨等) は金属加工 商品の重要な工程で、さらに一部の製品に 対し、耐久性や耐食性を高めるために不 可欠な工程だと言われている。 熱処理は加工後の工程であり、 一貫生 機械加工工場で一つの工程として存 在する場合もあ し、熱処理サービスを 提供する専門業者もある。 どのような形 にせよ、 ベトナムの熱処理関連会社の 数は限られている。その理由は、 ベトナ ムでは自動車の駆動系部品やフォークリ フト、農業機械、建設機といった分野が 成熟しておらず、熱処理を必要とする製 品の需要が未だに低いためだ。  金型や金型部品で言うと、ベトナムで は超精密金型や高強度の製品はまだ生産 できない。 ベ ナムの労働コストは他国と 比べて比較的低いことから、工場では金 型の寿命を延ばす対策に投資する代わり に、依然としてワーカーを使って金型の 修理やメンテナンスを行っていることも 要因の一つだ。   自社で熱処理ライン/設備を持ってい るベトナム企業は、 主に北部に集中して いる (興味深いのは、大多数がタイグエ ン省にあること。 同省は昔、北部の工業 鉄の中心地として計画、整備された土 地である)。 そのほとんどが数十年の歴史 がある会社で、 前身は国営企業が軍隊企 だ (公開情報が少ない)。 熱処理加工 18 DEC 2022 後の工程であり、大型の投資を必要とす るわりに成果は大きくない。そのため、数 十年前は熱処理専門業者はおらず、 投資 ができたのは国営企業だけだった。 他方 で、当時の国営の機械加工企業は、熱処 理工程が必要なエンジンや農業機械・ 品 重工業といった国に不可欠な工業製 品の生産を担っていた。 すべての工程を 自社内で完結させる方針の下で活動して いたため、機械加工から熱処理 表面処 理までをカバーする各種機械設備を十分 に備えていたのである。 代表的なベトナム企業 代表的な企業を挙げると、 Vietnam Motors

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